今年度も、私たちの長野県音楽教育学会は410名余りの学会員が集い、力強くスタートしました。学会員の皆さんにとって心の拠り所であり、資質向上を果たす研修の場でありたいと強く願います。
令和5年度 長野市を中心に開催された第65回関東甲信越音楽教育研究会長野大会(兼 第72回 長野県音楽教育研究大会)は、子どもたち、授業者の先生、研究グループの先生方、そして多くの運営スタッフ、参観してくださった先生方をはじめ、多くの皆さんのおかげで大成功を収めました。この成果を受け、令和6年度の目指すところは、長野大会の成功を私たちの日々の授業に最大限に活かすことです。私たちの授業は、子どもたちの音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育み、音楽の力を伸ばす“豊かな授業”でありたいと願います。それぞれの学校、それぞれの地区で素晴らしい授業、教育実践が展開されることを楽しみにしています。
みんなで みんなで行こうよ、このみちをゆこうよ。
童謡詩人 金子みすゞさん詩「このみち」に、三宅悠太先生が作曲をされた合唱曲をご存じですか?先日、諏訪教育会の総集会が行われ、その中で「諏訪教育会合唱団」として、音楽の先生や合唱好きの仲間と一緒に「このみち」を発表しました。この詩の世界を見事に表現した美しい旋律、ハーモニーを楽しむとともに、この詩の内容に感動しました。
みすゞさんは、榎(えのき)の木と蛙(かえる)と案山子(かかし)に呼びかけます。
ひとりぼっちの榎の木には、このみちの先にある大きな森へゆこうよと。
蓮池に住む蛙には、このみちの先にある大きな海へゆこうよと。
そして寂しそうな案山子には、このみちの先にある大きな都へゆこうよと。
「ひとりぼっちの榎」や「寂しそうな案山子」に、仲間が待っている大きな森や都へゆこうと誘いかけています。みんなの待っているところへみんなでゆこうよ。みすゞさんの誰にでも寄り添う温かい優しさを感じるとともに、一歩を踏み出してゆこうという勇気をもらった気持ちです。そして、この詩は最後に、「このみちの先にはきっと何かある。みんなで行こう。この道をゆこうよ。」と締めくくります。まさに私たちの音楽教育学会も、みすゞさんのことばの通り、「みんなで行こうよ」と強く思います。
今日本はかつてない少子高齢化。子どもがどんどん少なくなっており、学級や学校が減るたびに先生も減っています。本学会も数年前より会員数の減少が続いています。だからといって私たちの音楽を愛する思いや、子どもたちのためにいい授業をつくり出そうという熱意は変わらないと信じます。
今年度の音楽教育学会をスタートするにあたり、みすゞさんのことばを借りて、「みんなで みんなで行こうよ、このみちをゆこうよ。」と会員の皆さんに呼びかけます。
私たちの本学会は究極の「異年齢集団(⁉)」です。音楽教師の卵である大学生から、今年音楽教師としてスタートした初任者、中堅、そして大ベテランの先生方まで多くの仲間がいます。音楽教育を縁として出会った私たちはかけがえのない仲間。互いを敬いながら切磋琢磨し、学び続けましょう。
第73回 長野県音楽教育研究大会 安曇野大会【11月8日(金)】は着々と準備が進んでいます。ぜひ多くの皆さんのご参加をお待ちしております。その他各種研修会も計画されています。またアンケート調査なども行い、会員の動向をつかんだ研究を推進してまいります。また、長野県合唱大会(兼NHK全国学校音楽コンクール)をはじめ、各種コンクール等もほぼ例年通り実施する予定です。皆さんとお会いできることを楽しみにしております。
コロナの大流行により分断されかかっている、人と人とのつながり、音楽とのかかわりをもう一度確かめ合い、私たちの英知と経験を持ち寄って、”音楽のオモシロさ“を追究して参りましょう。本年度もどうぞよろしくお願いします。
長野県音楽教育学会会長 牛越雅紀
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